PMO組織を構築し会社でプロジェクトを横断的に管理する仕組みづくり
ここでは社内で立ち上がっているプロジェクトをどのようにしてプロジェクトメンバーへの属人化を軽減し、会社全体で管理していけるようになったかを説明していきます。
立ち上げの背景
7年前に僕がベトナムのオフショア会社に入社したとき、社内で立ち上がっていたプロジェクト数でいうと20 ~ 30プロジェクトでした。もちろん各プロジェクトにプロジェクトマネージャー、テクニカルリーダーがアサインされており、プロジェクトの体制としては問題ありませんでした。しかし、若い会社だったということもあってアサインされているメンバーのスキルや経験がプロジェクトの難易度に合っておらず炎上してしまったり、プロジェクト内の人間だけで進めていくだけで視野が狭くなり自分たちの現状を客観的にみれなくなり改善があまりみられないという失敗を多々繰り返していました。
そういった失敗を繰り返す中で、PMO組織を社内で立ち上げ導入していきました。
行ったこと
1. プロジェクト管理の要点の洗い出し
2. PMO組織の運用体制の決定
3. PMO組織としてのやることを決定
1. プロジェクト管理の要点の洗い出し
初めに考えたことはPMOとして何をモニターしていかなければならないのか?という点です。やはり開発プロジェクトで重要になるのは以下の5点です。
・スコープ
・スケジュール
・品質
・テクニカル
・モチベーション
この5点にフォーカスし、プロジェクト前、プロジェクト中、リリース前の大きく分けて3つのフェーズに合わせてプロジェクトのヘルスチェックを行う必要があると考えました。
過去にスプレッドシートにチェック項目をまとめたものは こちら から。
2. PMO組織の運用体制の決定
プロジェクトをマネジメント観点でケアする制度としてPMO体制を構築したいわけですから、プロジェクトマネジメント経験が豊富なメンバーを選出するのが理想ですが、当初はまだまだ若い会社だったのでそれに該当するメンバーがあまりいませんでした。その不足している箇所を1のチェックリストと毎週1時間 ~ 1時間半のPMO MTGでプロジェクトヘルスチェックの質を担保するよう考えました。体制は以下です。
3. 運用ルールの決定
2の運用体制をみてもらえばわかるように、PMOのメンバーがプロジェクトにアサインされ、それぞれがそれぞれのプロジェクトの情報を吸い上げられるような構造になっています。
この構造をうまく使っていくために以下のルールを決めて運用していきました。
1. PMOメンバーはアサインされたプロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)とDir(ディレクター)と週に1回必ずMTGを行う
2. そのMTGは1で上げたチェックリストをベースに行う
3. MTGで吸い上げた情報をPMOシート(PMOで決めた記入項目が決まっているシート)に記入する
4. 記入した内容を基に、週一回PMO内でプロジェクト1つ1つをレビューしていく
1 ~ 4を行うことで、マネジメント面とテクニカル面で何か問題があるプロジェクトは早期発見につながって、PMOメンバーでそれに対する対策を考え、解決案を提示、内容によってサポートメンバーをアサインするなどして対応できるようにしました。
また、話し合いの中では問題だけでなく改善案も上がってくるので、それに対する活動を行えるような座組にしました。
まとめ
このようにして第三者目線でプロジェクトが問題なく進行しているかチェックする仕組みをつくり、問題が起こる前に事前に対処ができるようになり、また彼らデリバリーマネージャーを通してプロジェクトの改善点や参考点を PMOチームに吸い上げることにより、ナレッジが蓄積され、開発プロセスの標準化できるようになりました。結果として属人化しない体制の構築と第三者目線でのチェックにより品質担保・プロジェクト稼働の安定化に貢献しています。