#23『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』
ウェルメイドコメディの決定版が、札幌演劇シーズン2016-冬にて再演。「ファンキーなほどウェルメイド」。思いっきり、待ったなしの「ラブコメ」。恋は、何度だって走り出す。
作品について
「恋愛は幻想に過ぎない」が自説のシェイクスピアが専門の大学教授、奥坂雄三郎(おうさかゆうざぶろう)は、ある日、ラジオから流れる気象予報士の声に「恋」をする。初めての感情に戸惑い、周りが見えなくなる奥坂は、これまでの持論を放り捨て、ひたすら恋に向かって暴走する!教え子や助手を巻き込んだ遅すぎる初恋は、はたして成就するのか?!ウェルメイドコメディの決定版!!
公演概要
出演
松本直人(MGHJ / 即興組合)
岩杉夏(ディリバレー•ダイバーズ)
小林なるみ(劇団回帰線)
遠藤洋平
深津尚未
日程
2016年1月23日(土)〜30日(土)
全10ステージ
会場
生活支援型文化施設コンカリーニョ
スタッフ
作・演出:弦巻啓太
舞台監督:上田知、石川哲也(わんわんズ)
舞台美術:川崎舞
照 明:相馬寛之
音 響:大江芳樹
演出助手:袖山このみ、島田彩華
宣伝美術:本間いずみ(Double Fountain)
制 作:弦巻楽団
メッセージ
青井陽治(翻訳家・演出家、演劇シーズン応援コメントより)
特急沙翁号は、知的アドレナリン満タンで、再び北の地を疾走すると言う。ただ線路の保安は保証されていない。
見切り発車、ポイント故障による脱線・混線は事故のうちに入らないらしい。
恋に落ちたシェイクスピア学者の『間違いつづき』の恋は『骨折り損』に終るのか、『終り良ければすべて良し』か。
酔い止めなんか飲まないで、目覚めて笑え!
弦巻啓太(当日パンフレット「ごあいさつ」より)
こんにちは。こんばんは。本日は弦巻楽団、演劇シーズン2016-冬参加作品『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』にお越しいただき、ありがとうございます。弦巻楽団としては2回目の、この「札幌演劇シーズン」参加です。しかもトップバッター。そして、弦巻楽団としては1年ぶりの札幌公演です。盛り上げていきたいと思ってます。
2015年はおかげさまで弦巻楽団はぐんぐんと飛躍させてもらった一年でした。初の海外公流(韓国三都市!)、複数の作品で道内ツアーと、試練と喜び、そして出会いに満ちた一年でした。ぐねぐねとした活動をしてきた弦巻楽団も今年で実質10周年です。感謝です。
この作品は10年前、10代で旗揚げした劇団を辞めて、職業演劇人たろうと意識的になった頃、書き下ろした作品です。当時はなんの計算も展望もなく、ただ直感に従うままに「最高にハッピーなウェルメイドコメディを作ろう!!」と考えてました。暗く、ヘビーな現実や人間の闇は一切描くことなく、とことん表層を走り抜けるようなウェルメイドなコメディを。
19歳の頃から作品を作り続けてきて、社会に括抗し得る舞台を作ろうと息巻くあまり、ある日、気がつけばシリアスへの担保として「かわいそうな人探し」をしてる自分を発見しました。そんな自分から抜け出そうと、新しい自分の表現のベース、リアリティを模索していました。そうして、この『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』は生まれました。
普遍性も革新性もいらない、ただただ良い舞台を。劇場を出るとき、ほんの少し足取りが軽くなるような。ただその日一晩、穏やかに眠りにつけるような。(初演の時はこの一回で忘れられても良い!と思ってました。それが、10年、折に触れて再演できることに。しかも、その都度大きな舞台で。びっくりです。初演初日、腸炎を発症し、本番中劇場の外に脱出し、近くのミスドで終演まで横たわっていたのも良い思い出です。)
あの時の直感の根拠が、今なら少し分かる気がします。そして今も、同じような直感を抱いてます。言葉にすることがリスキーな世の中になってしまいました。言葉にすることで「分断」されることも増えた気がします。そうじゃない。そんな筈はない。
さあ、『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』です。間答無用、待ったなし、言い訳無用のラブコメディです。年甲斐のない初恋の物語です。というか、いつだって人は、恋に落ちると初恋になってしまうもの…ですよね。違う?本当に?それはきっと心が…(自粛)。
出演者、スタッフ、そして演劇シーズンを支える全ての人に感謝を。
この文章を読んでいる皆々様にも。
この広い宇宙で、この劇場で出会えたことに。
恋に落ちる準備はよろしいですか?あの時のように。たった今のように。
今日は、本当にありがとう。
(恋は止まりませんが)ごゆっくり、お楽しみください。