子どものバランス改善に。
大学時代の力作。集大成となる卒業研究で制作した玩具です。4,5歳の子どものためのセットとして調査と試作を繰り返して制作した平衡感覚とコミュニケーション能力アップを願ったものになります。
卒業研究 合否判定会 展示パネル(A3)
テーマ: 幼児の平衡感覚を養うための玩具提案
- 対象年齢: 4,5歳
- 人数: 1~3人くらい/ 1セット
- 種類: プロタイプ
- 使用想定場所: 屋内
- 使用方法
詳しい遊びかたやセット内容はこちらをご覧ください!
●研究背景
近年、公園の遊具が減るだけでなく、外で走り回る子供の姿も消えてしまいました。
また、三郷市スポーツ促進課へのインタビューで、行政は子供の体力低下の問題を謳っているにも拘らず、特に、対策や市民への提案が十分に行なわれていないと感じました。
この問題を解決する為に、子供が遊ぶことで体力が自然と身につく玩具の提案をテーマとしました。
地元の公園の様子(2枚はそれぞれ別の公園)
●制作背景
4,5歳の子どもを育てているお母さんへの意識調査や市役所、現役保育士をしている友人へのインタビューやインターネットや実際の玩具販売店での調査により、以下のことが分かったため、平衡感覚を養いつつコミュニケーション能力も高められるものがあったら良いのではないかと考え、制作を行なうことにしました。
- 外で遊ばせたいが環境が悪いので子どもを外で遊ばせることに抵抗がある
- リスク回避のために危険なメンテナンスのしていない遊具の撤去はするが、子供用遊具を増やすことはない
- 子どもの運動不足問題に関して認知はあるが、子どもには体力よりもコミュニケーション能力を養ってほしい
- 走る、跳ぶ、投げる玩具はあっても、気軽に遊べるかつ、平衡感覚を養う玩具は少ない
●スケッチ
調査結果を受け、空間を絞らず、4,5歳の子どもたちが飽きずに楽しく遊べて平衡感覚をつけることのできる玩具と遊び方のアイデア展開を行ないました。
その中で、空間を幼稚園や保育園、児童館などの保育施設の屋内に設定し、子どもたちが自分で考えて簡単に組み立てたり、並べたりしたものの上を歩く・走るなどをして平衡感覚を自然に養うことのできる玩具のデザイン案に決定しました。
確定した案のスケッチ
●制作
材質を調べ、実際に購入して加工しては自分で使用して検証し、友人や所属していた研究室の教授に助言を貰いつつ試作を繰り返し、制作しました。
●ロゴ
ぱっと見たときに、「楽しい」印象のほかに
どうやって遊ぶ →板にボール挟んで乗ってぐらぐらさせる
対象は? →子ども
何人で遊べる? →2人(複数)
これが分かるよう意識して単純にデザインしました。
●考察及び今後の展望
遊んでただ平衡感覚を養わせるだけでなく、子どもたちが「はめる」「置く」の動作だけで自分の好きなレベルの台を作れる点と、2,3人で台の上をすれ違いで歩いたり跳ねたりする中で対人能力を築いていくきっかけを与える点で玩具の新しさを追究しました。
その結果、玩具の説明書や玩具ケースまでトータルデザインを行なったことで、親と子どもの両者にきちんと玩具を理解して正しく遊んでもらえることが期待されます。
一方で、板が子ども1人では持てないような重さである点や玩具を1セットで収納できない点は改善の余地があると感じました。その原因として、検証で正確な結果や意見を得ることができず、それを反映して制作できなかったことにあると考えられます。
今回、検証を依頼するにあたって、保護者や検証実験場所の管理者と繰り返し打ち合わせを計画的に行なっていく必要があったと感じました。今後の展開として、繰り返し検証実験を行うことで子どもたちにとっての安全や面白さを追究し、大人が子どもたちのすぐ傍で見張らなくても安全かつ、子どもだけで用意から片付けまでをしっかり行うことができる重量と収納ケースの形状の検討を行なうべきであると考えます。
より詳しい研究内容はこちらをご覧ください!
●研究期間
- 調査: 2016年4月~9月
- アイデアスケッチ: 2016年9月~11月
- 制作:11月~12月下旬頃
- ブラッシュアップ:2016年12月末~2017年3月上旬