エクセルだけで経理業務を効率化
エクセルだけで150%の作業スピードが上がり、96%の工数が削減され、正確性が向上した経理業務効率化の事例
背景と問題状況
依頼を頂いた際のお客様の状況は以下のとおりでした。経理部門は日々作業に追われ、経営層は必要なデータが得られないというような状況でした。
- 月次処理に時間がかかっているため、早急な経営判断ができない(前月のデータが経営層に届くまで3営業日かかっている)
- 事務作業に工数を割いている人員を経理分析に注力させたい。(社員が日々事務作業に追われている)
- 手書き作業の後にシステム入力作業が発生していて、無駄な作業や作業ミスが発生しやすい業務プロセスとなっている
- 取引データの量は月間で5,000件程度にも及び、月末になると1日で300件もの取引データを扱うことになり、月末月初の残業は当たり前になっている
対応方針
既存のデータを活用するようにし、従業員への引き継ぎも簡単なように使い慣れたツールを使用することを方針としました。
そこで、未使用だった銀行取引データを普段から使い慣れているエクセルで会計システムに取り込めるような形式に変換するツールを作成することで解決可能と判断しました。
スケジュールと対応内容
ヒアリングから導入まで3ヶ月で完了しました経理部門の方々へのヒアリングと使用している会計システムの現状把握をさせていただき、プロセスの改善案と作成するツールの仕様決定を行いました。
ツール自体の作成は、1週間程度で完了しました。
お客様の要望により並行稼動期間を設けました。
この期間は、現在の手書き&手入力の作業と並行して行い結果を照合させるという要望です。日次締め、月次締め処理をそれぞれ照合させました。(こちらの作業はお客様経理部門にての作業です)
実際の結果は、手入力の誤りを発見することになり、ツールそのものの精度や正確性を証明することができ、本格導入の決め手になりました。
計画立案(5週間)に関する補足
計画立案時に5週間かかっている理由としては、経理部門の作業担当者の業務時間確保が難しかったためです。
日々の業務に追われ、経理部門リーダーのヒアリング時間は1週間に2度、1時間程度しか確保できませんでした。
また、実際の作業員しかわからない作業内容も含まれていたため、作業員へのヒアリング時間の確保も難しい状況でした。
少ないヒアリング時間の中で、情報収集し、仕様を決定していきました。
計画と仕様が確定した後のツール作成と並行稼動、本格導入はズムーズに行うことができました。
変換ツールの概要
ネットバンキングより取得可能な「銀行取引データcsv」をエクセルにてインポートし、
既存の会計システムにあった取引データインポート機能を使用して取り込めるようにデータを変換するようにしました。
勘定科目、補助勘定科目が自動的に変換されるようにしています。
もちろん複数銀行に対応しています。
改善前と改善後の業務プロセス
改善前は銀行から取得できる取引データが存在していたにもかかわらず、そのデータは使用せず、通帳記帳後に目で確認しながら会計システムに取引データを手入力していました。
さらに別の事務員は複写式の手書き伝票を作成し、会計システムに入力されたデータと照合(目視)することで入力ミスを防いでいる状況でありました。
つまりこれだけで3人の要員を必要とする業務プロセスです。
Aさん:会計システムに入力する人
Bさん:手書き伝票を作成する人
Cさん:会計システムと手書き伝票を照合する人
改善後は、銀行の取引データを会計システムに取り込めるように変換ツールをExcelにて作成しました。
このツールを使用することで1名が数分の作業で完了してしまう状態の出来上がりです。
これらのツールは複雑なマクロを組み込んでいるわけではないく、全作業員が理解できる仕組みであるため、作業手順を全員で共有し、当番制を取ることで既存のメンバが運営できる状態になりました。
改善効果|システム導入を一切しないで既存のデータとエクセルツールのみで改善しました
■150%の作業スピードアップ|Delivery
これまでは、入力処理だけで3営業日かかっていましたが、翌営業日には財務諸表が出来上がっている状態になりました。
■95%の工数削減|Cost
これまでは、4名の従業員が、1ヶ月のうち、伝票入力や手書き伝票作成にそれぞれ24時間ずつかけていました
(4名 × 24時間 = 96時間/月 = 12人日)
改善後は、1名の作業員だけで4時間/月(0.5人日)で収まるようになりました
■正確性が向上|Quality
会計システムへの手入力と手書き伝票作成という手作業がなくなり、これらの二重作業をなくすことによって照合作業に必要性もなくなりました。
これにより正確性が向上しました。