青梅エリアスタディプロジェクト

OVERVIEW

東京都青梅市をフィールドに、地域コミュニティの方々と写真を通して交流しながら、社会における写真の記録性・表現性を研究して行くプロジェクトです。

2020年の一年間を通して行われたエリアスタディプロジェクトという授業です。

本来ならば前期の4月から青梅に足を運び撮影や地域の方々と交流をするのですが、この年はコロナ禍での授業になってしまったため、前期はオンライン授業で、グーグルマップを使い下調べをしたり、リモートで青梅の写真協会の方とディスカッションをしました。


この活動の成果発表として12月に、地元で人気のカフェ「繭蔵」(まゆぐら)さんと「青龍kibako」さんにご協力いただき、繭蔵さんの二階の展示スペースと青龍kibakoさんの蔵をお借りして展示をしました。


私が取り組んだ写真は、青梅の水中写真です。

昔、青梅は多摩川を中心に青梅街道の宿場町として発達しました。

青梅に住む人たちにとって多摩川は長い時間寄り添ってきた切り離せない存在です。

そこから多摩川に興味を持ち、何か面白い発見があるのではないかと思い多摩川にアプローチしました。

これは青梅駅からまっすぐ南に降ったところで11時ごろに撮影しました。お昼頃でしたが、周りに木が生い茂っていたこともあり日陰になりこのような風景になったのだと思います。私は撮った写真をみて、川底に転がっている石が、まるで青梅の山脈ようにみえました。

この写真は青梅の人もまだ見たことのない青梅の風景だろうと思い、写真を撮り続けました。

この写真は先ほどの青い写真と同じ場所で撮ったものです。これは16時頃に撮りました。同じ場所で日にちと時間、視点が違うだけで全く違う風景が見えました。

今回の写真はまるで自分が小魚になってみている風景のようでした。また、流れの弱い浅瀬で撮影しているので、水面に映る光が興味深い形になっています。これが川にすむ生き物にとっての天なのだろうと思うととても神秘的なものを感じます。


12月の展示の前に、青梅写真協会の方にお声を掛けていただき、青梅写真協会が主催の展示にお邪魔させていただきました。


「川から青梅を見ようとは考えたこともなかった。」

「初めてみる風景でとても興味深い。」

「写真を繋げて見せようとする考えが面白い。」

など青梅の方々から様々な感想をいただきました。

コロナ禍でありながらたくさんの方に見ていただき、青梅の方々と交流できたとてもいい経験でした。


多摩川ではもっと色々な風景がみれるはず!と思い、多摩川の支流である平溝川に撮影に行きました。

これが写真を撮れる最後のチャンスでした。


圧倒的に水が綺麗で高低差もあるので勢いがあり、とても力強く生命力のある写真が撮れました。

この撮れた景色をみたとき、ドキドキしたことをはっきり覚えています。みたことのない美しい景色に心惹かれ、これは絶対に青梅の方々にみてもらいたいと強く思いました。

もちろん青梅の方々だけでなく、あらゆる人にみてもらいたい景色です。

私は水中写真の可能性と面白さを感じた日でした。


成果発表の展示は、繭蔵さんと青龍kibakoさんの両方に出展しました。

  • 上:青龍kibako
  • 下:繭蔵


↓繭蔵さんのギャラリーの全体の様子です。

教授から、生命力で溢れていて力強い写真がポスターにふさわしいのではとお言葉をいただき、私の写真がポスターに選ばれました。


コロナ禍での活動で、道を歩いていてもほとんど人とすれ違わないこともありました。

人との交流は本来の活動よりも少なくなってしまいましたが、その分一回一回の交流の時間を濃く過ごすことができたのではないかなと思っています。


以前から水中写真には取り組んでいましたが、今回青梅で撮影して、水中写真の可能性と期待がさらに高まりました。また、様々な視点を持つことで新しい発見に繋がるということを学びました。

青梅の自然に触れ、青梅の方達の優しさに触れ、自分自身がとても豊かになったように感じています。

青梅での撮影はこれからも続けて、ひとつの大きな作品を作りたいと考えています。