沖縄見える化プロジェクト
「沖縄の光、音、原風景の発見」をテーマに、琉球大学の学生と共に沖縄県糸満市で約一週間ほど撮影を行なった。 写真の記録生や表現性を基軸に、地域コミュニティの方々との双方向的コミュニケーションを通し、新たな写真の役割や社会性を研究していくことが目標です。
2019年8月7日から約一週間、沖縄糸満市米須にあるキャンプタルガニーという地元の美術館でお世話になりました。
数ヶ月前から琉球大学の学生たちとオンラインでコミュニケーションを取り、東京から持っていけないものの買い出しや、軽いロケーションなど、沖縄でしかできないことは協力していただきながら、各自の撮影計画に合わせて準備をしました。
私は水中写真の計画を立てました。沖縄へ行くことが初めてだったこともあり、沖縄の海を泳ぎたい!沖縄の海の中を見たい!という強い思いがありました。また、以前”水中写ルンです”で川や海で水中を撮影したことで水中写真に興味をもったことも今回の計画の動機になりました。
全体のテーマである「沖縄の光、音、原風景の発見」に基づき、私は「沖縄の海の新しい原風景」をテーマに撮影しました。台風前後だったこともあり、足がつく深さでの撮影です。
私が想像していた沖縄の海は、「珊瑚が一面に広がり色鮮やかな魚が沢山泳いでいる海」でした。実際に海に潜ってみると、一面が死んだ珊瑚で埋め尽くされ、そこに小魚が生き生きと泳いでいました。その時初めて、今自分が立っているのは珊瑚の上だったことに気づきました。
ずっと何か写真に違和感があったのですが、その原因が、一枚の写真の中に水面と海底が写っていて、奥はずっと続いていることでした。その風景はまるで水族館の水槽をのぞいているようでした。
天然の風景だがどこか人工的に見える風景、生(泳ぐ魚)と死(珊瑚)が共存する風景。沖縄の海の小さな矛盾をみつけたような気がしました。
撮影をしながら空いた時間では地域の方々と交流しました。
- 上:公民館の広場で野球をしていた子供達にインタビュー
- 下:公民館でシーシガナシ(獅子加那志)を創るのをお手伝い
成果発表として最後にキャンプタルガニーで写真展を開催しました。
台風の影響で一週間のうち3日ほどしか撮影できませんでしたが、その短い時間でも面白い風景に出会うことができました。
海のイメージが強くある沖縄は観光地として賑わいをみせていますが、地域の方とお話をした時に「海は基本的に漁の時しか行かない。遊ぶことも少なかった。」とおっしゃっていました。そのお話を聞いた時に、私の撮った写真は沖縄の人たちにとって近すぎて気づかなかった風景なのかもしれないと思いました。
私にとっても、沖縄の人たちにとっても。その他の人たちにとっても新しい沖縄の原風景を発表できたのではないかと思っています。