産学協同プロジェクト(UIデザイン)
産学協同プロジェクトで、株式会社LOKOSOLが開発している「職場におけるコミュニケーションギャップを改善するサービス」のアプリにおけるUIデザインを担当しました。
概要
LOKOSOLというメンタル不調者向けの職場コミュニケーション支援サービスのアプリにおけるUIデザインを行いました。
主にうつ病などのメンタル不調、精神障がい、発達障がいを抱える方を雇用する中小企業を対象に提供するサービスです。
産学協同プロジェクト終了後、サービス開発はデザイン会社に委託されました。
制作期間
2019年6月〜12月
制作人数
1人(短期で、他大学の学生2人がイラストを担当。)
ワークフロー
1.企業からの事業概要、プロダクトについての説明を受ける
2.コミュニケーションギャップ全般の事例、考え得る対策、それをどうITソフトにメニュー化できるか前提条件なしで洗い出し
3.プロダクトに必要なより良いアイデアを検討する
4.試作品のフィードバック結果から、UI構築
5.成果物をデザイン会社に移管
メインコンテンツについて(PC版)
これはPC版のLOKOSOLのホーム画面です。メインコンテンツとなるのが、
「私のマイガーデン」という緑のボタンです。
この「私のマイガーデン」をクリックすると、「あなたの気になっていること、困っていることはなんですか?」などいくつか質問されます。それらに答えていくことで、職員自身の抱えている問題を整理し、それを他の職員に共有することでその問題に対して組織全体での共感を作ります。
なぜこのサービスを開発するのか?
・障がい者の仕事の定着率が低い・・・精神障がい者の定着率は1年で49.3%(2017)
・メンタル不調者の再発率が高い・・・過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1ヶ月以上
休職又は退職した労働者のうち、8割以上がメンタルヘルス不調の方たち(2016)
・企業の採用コスト、コミュニケーションコストの負担
なぜ問題が起きるのか?
会社・他職員とメンタル不調者・障がい者とのコミュニケーションギャップがある
↓
自分のSOSを明らかにし、他社と共有することができない問題
課題解決するまでのプロセス
1.LOKOSOLのサービスを提供する会社に、自分のSOSを他者と共有できないメンタル不調の職員がいるという課題の存在
↓
2.LOKOSOLを使用することで、自分のことを整理し、職員の情報や課題、SOSを共有
↓
3.人と人をつなげ、他の職員との共感を増やし、コミュニケーションを増やす
↓
4.その結果、職員同士の課題共有と人間関係を強化し、より良い社風や職場環境を作り、職員定着率を上げる LOKOSOL=その人のことを知るきっかけ作りツール
ホーム画面のデザイン(初期)
一番左が最初に考案したホーム画面のデザインです。ホーム画面にLINEのような職員リストを設けることで、すぐに職員のマイガーデンが見れるという状態を作りました。
しかし、ビジネス寄りのデザインではなく、明るい雰囲気のデザインにして欲しいとクライアントからの要望で、真ん中のデザインになりました。こちらはゼミの先生のデザインカンペに基づいて制作しました。そして右の画面ではシャドーを加えたことにより、押せる感を出し、障がい者の方でもボタンだと認識してもらえるようなデザインに変更になりました。
ホーム画面のデザイン(後期)
後期ではゲームらしさを出し、利用する職員が気軽に楽しくできるようイラストを加えてホーム画面をデザインしました。マイガーデンを小さな惑星の庭のようにしたことで、職員同士がつながりやすいことをイラストで表現しています。
質問画面のデザイン(一部抜粋)
「私のマイガーデン」ボタンを押すと、マイガーデンを創る画面に切り替わります。そして、キャラクターが仕事やプライベートでの悩みや困っていることをアンケートのように質問していきます。
最終的な成果物はどうなったのか?
結果的に最終的な成果物はなくなり、サービスの見直しとなりました。その理由は現在のキャラクターメインの世界観では職員に使ってもらえないことや、何度も修正が行われたことでなかなかスケジュール通りに進まなかったため、1からデザイン会社の方で進めることになりました。
この産学協同プロジェクトで学んだこと
・デザインの言語化の重要性・・・メールのやりとりが中心だったため、デザインの説明を文字に起こす必要性→論理的な説明で伝える
・サービス開発における初期段階の重要性・・・表層的な部分だけデザインしても意味がない→上流から関わることが大事
・ユーザーの前にクライアントの存在・・・クライアントあってのデザイン→真摯な姿勢が大切