【背景】
「プログラミングを使った作品に似たような作品が多くないか」という1つの疑問から生まれた作品。プログラミングを使った作品にオリジナリティを持たせるにはどうしたらいいかを考えた。
ヴァルター・ベンヤミン「複製技術時代の芸術」によると、オリジナリティのあるものにはアウラが宿っており、複製技術を使った作品にアウラは宿らないと言う。(本当はもう少し複雑だが割愛)つまりこれは、プログラミングでで作られた作品 ≒ 複製できる作品 にアウラを宿らせたいという実験的な作品である。
【テーマ】
アルゴリズムの美しさ。
現在、デジタルは空気のように当たり前にそこら中に存在する。それは「自然」とも捉えられるのではないだろうか。昔から自然の美しさは「風景画」などとして色々な画家に描かれている。私はその流れに則り、アルゴリズムの美しさを描こうと考えた。
この作品ではアルゴリズムから生まれた美しい模様を目で見ること、触ること、そこからアルゴリズムから生まれた音が流れることで美しいアルゴリズムの世界に観客を誘う。
それはアウラに繋がると私は信じている。
【作品概要 / 技術】
この作品は簡単に述べると触れると音がなるインタラクティブな油絵である。
油絵の題材と音は全てアルゴリズム由来のもので、1つのアルゴリズムからopenFrameworksで油絵のもととなるグラフィックを生成、Processingで音を生成している。この作品では「メタボール」「ランダムウォーク」「マンデルブロ集合」の3つを形にした。
油絵に触れたら音をならす構造には、Arduinoとフォトリフレクタを使用している。
油絵の裏にフォトリフレクタを貼り付け、シリアル通信でProcessingに値を送信、触られたときの油絵と壁の距離の閾値を設定し、触っている間だけスピーカーに音を流した。